お客様でご利用中のExcel 2016で、セルに数値を入力してEnterキーで次のセルに移動したり、セルの書式設定ダイアログを表示させたりとすると、画面が真っ白になって相当時間固まる現象に悩まされているとのご連絡を頂きました。

弊社にも同じExcel 2016がありますので、お客様から当該のファイルをお送り頂いて、同様の事をしてみましたが問題が見られませんでした。
そのためそのパソコン固有の問題だろうとひとまず見当をつけて訪問しました。

Excelの高速化設定

そこでまずはExcelの高速化を次の通り行ってみました。
  1. Excelを起動し、ファイルメニュー → オプションとクリックします。
  2. 左側ペイン内の基本設定ユーザーインターフェースのオプションリアルタイムのプレビュー表示のチェックを外す。
  3. 左側ペイン内の簡単アクセス操作の結果のオプション操作をアニメーションで表示するのチェックを外す。
  4. 左側ペイン内の詳細設定をクリックします。
  5. 編集設定オートコンプリートを使用するのチェックを外す。
  6. 表示ハードウェアアクセラレーターを無効にするにチェックを入れる。
  7. 数式マルチスレッド計算を行うのチェックを外す。
  8. 全般マルチスレッド処理を有効にするのチェックを外す。
この設定を行って念の為、Excelを再起動して問題が起こったファイルを開き、様子を見ましたが改善されませんでした。

Excel設定ファイルの再構築

ひとまずExcelを終了します。
C:\Users\(ユーザ名)\AppData\Roaming\Microsoft\Excelフォルダをエクスプローラで開きます。
このフォルダ内にあるExcel15.xlbファイルのバックアップを取ってから削除します。
Excelを起動して様子を見ましたが、改善されませんでした。

Officeの修復

Excelを終了し、次の通り進めます。
  1. スタートボタン → 設定アプリプログラムと機能とクリックします。
  2. Microsoft Office ... 2016(...の部分はProfessional等といろいろあります)を右クリックします。
  3. 変更をクリックします。
  4. ユーザーアカウント制御ウィンドウが表示されますので、はいボタンをクリックします。
  5. クイック修復ラジオボタンをオンにして、修復ボタンをクリックします。
  6. クイック修復を開始してもよろしいですか?と表示されたら、修復ボタンをクリックします。
  7. しばらく待ちます。
  8. 修復が完了しました。と表示されたら、閉じるボタンをクリックします。
Excelを起動して様子を見ましたが、また改善されませんでした。

どうすると再現するのか

高速化に効くといわれる設定が悉く効かず、完全に煮詰まってしまいました。
そこで改めてどういう状況で発生するのかをじっくり確認してみました。
Excelを起動し、どのセルにも計算式が入っていない新しいファイル上のセルに数値を入力して、Enterキーを押すと何の問題もなくカーソルがすんなり移動することに驚きました。(当然と言えば当然か)
ということは問題はパソコンの方ではなく、特定のファイル固有の問題なのかなと、ファイルの内容を見てみますと、各列の合計を表の最下部で計算している、取り立てて複雑な計算等は見られないごく普通のファイルでした。
そこで、新しくファイルを作り、A10セルにA1からA9セルまでの合計を計算するワークシートを作り、名前を付けてデスクトップに保存してExcelを終了します。
終了したらすぐにそのファイルを起動して、A1セルに任意の数値を入力してEnterキーを押すと、現象が発生しました。
再度Excelを終了し、またそのファイルを起動して、今度はB1セルに任意の数値を入力してEnterキーを押すと、現象が発生しませんでした。
これを繰り返してみましたが、A1からA9セルでは毎回現象が再現されました。
ということは、Excelそのもののバグの可能性があると推測されました。

ドンピシャの情報が見つかる

そこで、Excel 2016 計算 遅いというキーワードで検索してみると、Microsoftコミュニティの記事がヒットしました。
この記事の2018年2月2日の回答の中に、次のようなことが書かれていました。
問題の切り分けとして問題の発生しているPC上にローカルアカウントを追加して動作確認をしたところ此方では障害は再現していません。
従ってOfficeやシステムの問題では無くアカウント上の問題と認識しています。
今回問題が起こったパソコンはMicrosoftアカウントでログインしたWindows 10上のExcel 2016で発生しており、弊社で確認したパソコンはローカルアカウントでログインしたそれでした。
だから弊社では問題が再現されなかったのです。
その記事をさらに続けて読むと、同日のMicrosoftフォーラムモデレーターからの回答があり、その中に次のことが書かれていました。
なお、この件についてはマイクロソフトで問題と認識しており、2018年2月6日のOfficeのアップデートで修正予定とのことです。
ということで、お客様に更新の予定があるようですので、それまでお待ち頂き、当該のファイルについては計算方法の設定でブックの計算を手動で行うようご説明し、退出しました。

更新の結果

結局のところ2月6日には更新がなく、2018年2月8日にずれこんだようです。
これをお客様のOfficeに適用し、問題解決したことを確認できました。
適用後は、バージョン 1801 (ビルド 9001.2144)となるようです。